今度は、どのOSを選択するべきか?について考えてみる。
実を言うと、ベストな選択というものは無く、どれでも良いが、
どれを使っても困らない環境を作るには、ある程度の理解は必要。
現在、主流となっているは、Windows系、Linux系、Mac の3系統のOS。
ひょっとしたら、Linux については、聞いたことが無い人もいるかもしれないが、
WindowsとMac の名前くらいは聞いたことがあるだろう。
既に話をしたように、OSはコンピュータに関わる様々な装置と
アプリケーション・ソフトウェア(以下では、略してソフト)の仲介をするような存在。
したがって、OSはCPUと関連する装置に依存し、ソフトはOSに依存する。
細かい話は複雑でマニアックなので、厳密な話は避けて「ザックリ」と言うと、
歴史的には、Windows系のOSは、「x86(ペケ・ハチロク)系」と呼ばれるCPUに対応し、
(以前の)Mac OS は、「Power PC」と呼ばれるCPUに対応していた。
なお、Linuxの場合は、各種CPUに合わせて様々なバージョンが存在する。
実を言うと、現在では、Windows系のOS、Mac OS、Linux系OS、
いずれも、x86系のCPUで動作し、したがって、この環境が最も多いのではないかと思う。
ちなみに、x86系のCPUは、インテルという企業が開発したため、
x86系のCPUに対応して以降のMac OS(10.4〜)を、Intel Macと呼ぶ。
ふむふむ。トヨタの「ハチロク」と、インテルの「ハチロク」...。
そのような事情から、今では、Linux系のOSはWindows用のパソコンにインストールでき、
Mac OSの、ある特殊な機能(Boot Camp)を使えば、
Linux系のOSやWindows系のOSをインストールすることも不可能ではない。
なお、Mac OS を他の機械で動かすことはできない。
とにかく、今回は、これら3系統のOSの特徴について簡単に整理してみる。
今回は、難しい話はなし。表面上の話が中心。
私の場合、以前は熱狂的なMicrosoft ファンであったが、諸事情あってMacユーザになり、
現在では、研究活動の中心はLinux系のOS。今ではWindows系のOSを使う機会は減った。
そんな私の個人的な印象から以下のような表を作ってみた。根拠は無い。単なる「印象」。
結論から言うと、実績と保守性に重きを置くのであれば、Windows系OSが適している。
個人プレー中心の貧乏研究者や学生には、Linux が向いているだろう。
趣味中心の個人利用であれば Mac という選択も捨てがたい。
結局は、日常的に利用するソフトウェアがOSの選択に大きく左右する。
ただし、既に述べたように、ソフトのOS依存は以前に比べて低減している。
重要なことは、それぞれの得手不得手を理解した上で、
環境に依存しないような情報管理の方法が必要なのである。
さて、話が逸れてしまったが、そもそも、各OSの普及率はどの程度のものなのであろうか?
以下のグラフは、Wikipedia のOS別の参照アクセス状況を表したものである。
なお、このデータは、2012年8月1日〜2012年8月31までの集計結果。
(参考:http://stats.wikimedia.org/wikimedia/squids/SquidReportOperatingSystems.htm)
このグラフを見てみると、Windows系OSからのアクセスが圧倒的に多くて、全体の85.4%。
Mac OSは9.6%、Linux系OSは少数派で1.7%となっている。
この結果が示すように、やはり、Windows系のOSは「圧倒的」に優勢である。
この背景には、「Windows」というブランドが、企業や公官庁、教育機関などに
広く普及しているという状況がある。要するに、「公式の場」に強いのが特徴。
当然、職場と自宅の環境が同じであった方が良い。
だから、職場でWindows系OSを使っている人は、自宅でもWindows系OSを選択するだろう。
結果として、利用者が多いので、対応する周辺機器も多くなる。
こうした状況は、開発に携わる人達にとっても享受できるメリットが多い。
Windows系OSを前提とする開発者は、圧倒的大多数であるので、
多くの洗練された開発環境を容易に準備できる。
私自身、以前は、Microsoft の提供する開発環境で開発していたのであるが、
使い勝手の「心地良さ」は、他の開発環境とは比べ物にならない。
Mac と Linux に移行して、最も苦労した点は不便な開発環境に慣れることであった。
さて、Windows系OSに依存するソフト類も「公式の場」に相応しいものが多い。
特に、大規模システムの根幹に関わるソフトや、セキュリティ関連のソフトは、
「ある程度の技術」で使える便利ツールが多く、参考情報も豊富である。
システムの維持管理というのは、想像以上に苦労が尽きないもので、
少しでも、その負担が軽くなるのであれば、やはり、使いやすいツールが良い。
「公式の場」を相手にしてきたWindows系OSと、この種のOSに依存するソフトの多くは、
システム障害への耐性が高く、これまで「上手くやってきた」という実績もある。
つまり、保守性という点ではWindows系のOSが圧倒的に優勢となる。
これらの利点が、Windows系OSの「強み」であり、
他の利点を譲ったとしても、十分に「おつり」が返ってくる。
ここまで言うと、やはり、Windows系OSが最良では?と思うかもしれない。
しかしながら、「公式な場」を中心に普及しているが故に、
時代の流れには鈍感であるし、痒い所に手が届かないことも多い。
地域性が反映され過ぎていて、時々、国際対応で不便を感じることがある。
多国語化に関しては、追加の言語パッケージを入れるか、
最初から多国語環境が入っているものを選択するという方法はあるが、
いずれにせよ、追加料金が発生してしまう。細々とお金がかかるのである。
また、いくら保守性が高いと言っても、永久に古い機能を持ち続けれるわけではないし、
新しいOSのバージョンがリリースされても、様々な事情があって、
古いバージョンを使い続けないといけないこともある。
そもそも、上に挙げた利点というのも、あくまで「公式の場」での話であって、
個人ユーザにとっては、必ずしも当てはまるとは限らないし、
少ない給料で割けるお金で買うには、少々、コストが掛かりすぎる。
以下のグラフを見てみると、現在でも、3割程度の人がWindows XPを利用している。
サポートが切れているOSを使うのは良くないのであるが…。
では、この問題は他のOSの場合にはどうなのか?
今度は、Linuxについて整理してみる。
Linuxと言っても、実際には様々な種類がある。私も、何種類あるか知らない。
というのは、OSの「基本的な部分」に様々な機能を追加した「亜種」が多く存在し、
その亜種によって、見た目、提供される機能、使い勝手が全く異なる。
現在では、RedHat、Debian、Slackwareの3系統の配布形式が主流で、無償のものでは、
RedHat系「Fedora(フェドーラ)」、Debian系「Ubuntu(ウブンツ)」。
Slackware系「openSUSE(オープン・スーゼ)」などがよく知られている。
実を言うと、大規模システム向けの、有償のLinux系OSも存在しているが、
細かい話をし始めると、延々と長い話になって終わらない。以下の話も、「ザックリ」。
ということで、ここでは、私が愛用しているUbuntuについて紹介する。
Wikipedia のアクセス数の割合で見ると、42.4%がUbuntuとなっている。
Linux系OSは様々な用途で使われているので、全体としてシェアでは不明なのであるが、
Wikipediaは一般ユーザが使うのが通常なので、実質的に、個人ユーザが最も多いOSであろう。
この Ubuntu を導入すると、どのようなメリットを享受できるのだろうか?
とりあえず、「見た目」は以下の通り。使いにくいという印象は感じられない。
実際に、直感的に扱うことができるので、一般ユーザが不便することは無い。
まず、このOS自体は無償で入手することができ、必要なソフトの多くも、
無償で入手できるものが多いので、金銭的は負担は非常に小さい。
もちろん、普通の人がWindows上で行うことの多くは、Ubuntu上でもできる。
画像や動画の処理、文書作成、表計算、統計、GIS、シミュレーション...etc。
これらは、Windows系のOSやMacと同様に、マウス操作が中心で複雑な技能も不要。
ただし、Windows上で動作するソフトが直接的に動くわけではないので、
代替となるソフトを探す必要はあるが、必要なソフトも揃っているし、
逆に、Windows系OSや Mac系OSで苦労する処理が、あっさりと出来ることもある。
動作も、Windows系のOSと比較するとかなり早く、旧式のパソコンでも快適に動く。
私は、最初の3年をWindowsで動かして、残りの2年はUbuntuで動かしている。
実を言うと、バッテリがもう持たないので、用途は限られてしまっているが...。
意欲のある人は、パソコンの買い替えの時に、試してみても良いかもしれない。
さらに、コマンドライン操作を少しでもできれば、作業効率は格段に上がる。
元々、コマンドライン操作が中心であったのでコマンド操作は非常に快適で、
細々とした機能が満載なので、使い慣れると「心地良い」のである。
多言語対応に関しては、Windows系OSと比較して、かなり自由が効く。
簡単な操作でいつでも言語やキーボードの言語設定ができるので、
海外の研究者とパソコンを共有する時に役に立つ。
さて、個人的にはUbuntuを何とか普及させたい気持ちもあるが、
全く問題が無いという訳では無い。「公式な場」で使うには、些か問題がある。
まず、大規模システムの基幹システムに据えるには不安材料が多いし、
ネットワークの細かい設定を行うには、そなりに技術力と専門知識を要する。
また、解説の多くが英語なので複雑な事をするにはある程度の英語能力を要する。
Windows系OSで作成されたファイルとの互換の問題もある。以前よりも良くなったが、
例えば、Microsoft Office で作った書類やプレゼンは、レイアウトが大きく崩れたり、
一部の図形が、別の図形になってしまったり...完全な互換は実現していない。
では、Macを選択するというのはどうか?なんか、最近、人気のようであるが。
学会のプレゼンでもよく見かける。
そもそも、Mac は、昔から個人ユーザをターゲットとしていて、
「一般企業ウケ」という点では、必ずしも良いとは言えない。
その一方で、「斬新さの追求」という点では、他のOSを圧倒している。
Mac は、パソコン本体とOSがセットになっているため、全体的な完成度も高い。
そうそう、Mac 独特のクールなデザインも定評がある。
マウスやキーボードなどの付属品までもが洗練されていて、慣れると病みつきになる。
ディスプレイなどにもこだわりがあって、色の再現力は非常に高い。
ちなみに、私のUbuntu機のキーボードはMac の英語版ワイヤレスキーボード。
あくまで、一般ユーザをターゲットとすることで、
様々な企業とのシガラミに捕らわれず、新しいことに挑戦しやすいのである。
そのような「思想」に魅了された人は、Mac から離れることができない...。
見た目だけ?と言う人もいるかもしれないが、そうでは無い。
また、現在のMac OS(Intel Mac)は、Linux の遠〜い親戚のようなものであるから、
コマンドは多くが共通していて、Linuxユーザにとっても、比較的、使い易い。
文字コードに関しては、両方とも、UTF-8が標準のため、文字化けも生じにくい。
処理速度の点では、体感的には軽快で、通常利用で不便を感じることは無い。
欧米では、Mac を愛用する研究者も多い。私も海外の研究者に勧められてMacにした。
そう言えば、以前参加したドイツの国際学会では備え付けのパソコンがMac だった。
国際対応という点でも、Ubuntuと同様に優れている。
簡単な設定で様々な言語に切り替えることができ、
Ubuntuと同様に、海外の研究者と共同研究する際に重宝する。
Mac版のMicrosoft Office が存在することも重要なポイントである。
実際には、マクロなどWindows版のOfficeの機能が全て使える訳では無いので、
完全に再現できる訳では無いが、Macではレイアウトが崩れる問題が軽減される。
他にも、Mac専用のオフィス・ソフトであるiWorksに含まれるワープロソフト(Pages)や、
プレゼンテーション・ソフト(Keynote)、表計算ソフト(Numbers)には、
iPad版やiPhone版が存在しており、これらの機器でデータを編集できる。
Mac を中心とした世界に、一度浸かってしまうと、
その「心地良さ」から、抜け出ることができないのである。
iPhone5のDockコネクタや地図に関して、困惑している人が多いが、
それで何らかの状況が「将来的に」良くなるのであれば、静観したい、
そのように、Mac信奉者は感じてしまうのである。褒めて伸ばしたい親心である。
では、Mac の選択する上での問題とは何か?
まず、Unutu などのLinux系OSとの関係では、
よく似ていても、決して同じOSでは無いし、Linux上で不自由なくできることが、
Macでは色々と厄介な手続きを踏まざるを得ないこともある。
Windows系OSとの関係では、「Windows版/Mac版」と書かれたソフトの多くが、
Windows版のソフトよりも機能的劣っていたりして、ガッカリすることがある。
そもそも、仕組みが違うので仕方無いのであるが、期待を裏切られることは多い。
周辺機器に関しても、Windows系OSの搭載を前提としたパソコンとは、
異なる形状の端子を使うことも多く、特定の周辺機器を使用するために、
特殊な形状の変換プラグを用意する必要もある。
一言で表現するならば「その斬新さ故に不自由を被ることがある」ということ。
さて、文系のためのOSの選択の話、少しは参考になっただろうか?
重要な点は、上記の3系統のOSの優劣を付けることは無意味であるということ。
こっちのOSでは簡単でできることが、他のOSでは困難であったり、
あるいは、色々とお金をかけないと行けないことがある。
見ての通り、何が良いかという結論は無い。人によって好みは異なるし、
用途によって便利と感じる部分も大きく異なる。
ただ、情報を扱うという観点からは、あるいは情報共有と利活用の観点からは、
いずれのOSを使用しても、大きな混乱の原因にならないような工夫が必要なのである。
そして、その工夫というのは、決して難しいことではない。
ということで、次回は、OSに依存しないソフトウェアについて整理しようと思う。
実を言うと、ベストな選択というものは無く、どれでも良いが、
どれを使っても困らない環境を作るには、ある程度の理解は必要。
現在、主流となっているは、Windows系、Linux系、Mac の3系統のOS。
ひょっとしたら、Linux については、聞いたことが無い人もいるかもしれないが、
WindowsとMac の名前くらいは聞いたことがあるだろう。
既に話をしたように、OSはコンピュータに関わる様々な装置と
アプリケーション・ソフトウェア(以下では、略してソフト)の仲介をするような存在。
したがって、OSはCPUと関連する装置に依存し、ソフトはOSに依存する。
細かい話は複雑でマニアックなので、厳密な話は避けて「ザックリ」と言うと、
歴史的には、Windows系のOSは、「x86(ペケ・ハチロク)系」と呼ばれるCPUに対応し、
(以前の)Mac OS は、「Power PC」と呼ばれるCPUに対応していた。
なお、Linuxの場合は、各種CPUに合わせて様々なバージョンが存在する。
実を言うと、現在では、Windows系のOS、Mac OS、Linux系OS、
いずれも、x86系のCPUで動作し、したがって、この環境が最も多いのではないかと思う。
ちなみに、x86系のCPUは、インテルという企業が開発したため、
x86系のCPUに対応して以降のMac OS(10.4〜)を、Intel Macと呼ぶ。
ふむふむ。トヨタの「ハチロク」と、インテルの「ハチロク」...。
そのような事情から、今では、Linux系のOSはWindows用のパソコンにインストールでき、
Mac OSの、ある特殊な機能(Boot Camp)を使えば、
Linux系のOSやWindows系のOSをインストールすることも不可能ではない。
なお、Mac OS を他の機械で動かすことはできない。
とにかく、今回は、これら3系統のOSの特徴について簡単に整理してみる。
今回は、難しい話はなし。表面上の話が中心。
私の場合、以前は熱狂的なMicrosoft ファンであったが、諸事情あってMacユーザになり、
現在では、研究活動の中心はLinux系のOS。今ではWindows系のOSを使う機会は減った。
そんな私の個人的な印象から以下のような表を作ってみた。根拠は無い。単なる「印象」。
Windows | Mac | Linux | 備 考 | |
操作性 | ○ | ○ | ○ | どれも一長一短。今では殆ど変わらない。慣れの問題。 |
保守性 | ◎ | ✕ | ✕ | 企業や自治体向けという点では、Windows が強い。 |
斬新性 | ✕ | ◎ | △ | Macは、あくまで個人向け。イノベーションを追求型? |
安定性 | ❍ | ❍ | ❍ | ケース・バイ・ケース。使い方によるので、一概には言えない。 |
連携性 | ✕ | ○ | ◎ | ソフトウェア間の連携という点ではLinuxが強い。 |
国際性 | ✕ | ◎ | ◎ | Windowsの国際対応は大きく遅れている。 |
汎用性 | ◎ | △ | ✕ | 誰でも使えるという点では、Windows が強い。解説も多い。 |
コスト | ✕ | ○ | ◎ | Linuxなら無償で環境を整えることができる。 |
見た目 | ○ | ◎ | ○ | 周辺機器も含め、洗練されたインタフェースが魅力。 |
結論から言うと、実績と保守性に重きを置くのであれば、Windows系OSが適している。
個人プレー中心の貧乏研究者や学生には、Linux が向いているだろう。
趣味中心の個人利用であれば Mac という選択も捨てがたい。
結局は、日常的に利用するソフトウェアがOSの選択に大きく左右する。
ただし、既に述べたように、ソフトのOS依存は以前に比べて低減している。
重要なことは、それぞれの得手不得手を理解した上で、
環境に依存しないような情報管理の方法が必要なのである。
さて、話が逸れてしまったが、そもそも、各OSの普及率はどの程度のものなのであろうか?
以下のグラフは、Wikipedia のOS別の参照アクセス状況を表したものである。
なお、このデータは、2012年8月1日〜2012年8月31までの集計結果。
(参考:http://stats.wikimedia.org/wikimedia/squids/SquidReportOperatingSystems.htm)
このグラフを見てみると、Windows系OSからのアクセスが圧倒的に多くて、全体の85.4%。
Mac OSは9.6%、Linux系OSは少数派で1.7%となっている。
この結果が示すように、やはり、Windows系のOSは「圧倒的」に優勢である。
この背景には、「Windows」というブランドが、企業や公官庁、教育機関などに
広く普及しているという状況がある。要するに、「公式の場」に強いのが特徴。
当然、職場と自宅の環境が同じであった方が良い。
だから、職場でWindows系OSを使っている人は、自宅でもWindows系OSを選択するだろう。
結果として、利用者が多いので、対応する周辺機器も多くなる。
こうした状況は、開発に携わる人達にとっても享受できるメリットが多い。
Windows系OSを前提とする開発者は、圧倒的大多数であるので、
多くの洗練された開発環境を容易に準備できる。
私自身、以前は、Microsoft の提供する開発環境で開発していたのであるが、
使い勝手の「心地良さ」は、他の開発環境とは比べ物にならない。
Mac と Linux に移行して、最も苦労した点は不便な開発環境に慣れることであった。
さて、Windows系OSに依存するソフト類も「公式の場」に相応しいものが多い。
特に、大規模システムの根幹に関わるソフトや、セキュリティ関連のソフトは、
「ある程度の技術」で使える便利ツールが多く、参考情報も豊富である。
システムの維持管理というのは、想像以上に苦労が尽きないもので、
少しでも、その負担が軽くなるのであれば、やはり、使いやすいツールが良い。
「公式の場」を相手にしてきたWindows系OSと、この種のOSに依存するソフトの多くは、
システム障害への耐性が高く、これまで「上手くやってきた」という実績もある。
つまり、保守性という点ではWindows系のOSが圧倒的に優勢となる。
これらの利点が、Windows系OSの「強み」であり、
他の利点を譲ったとしても、十分に「おつり」が返ってくる。
ここまで言うと、やはり、Windows系OSが最良では?と思うかもしれない。
しかしながら、「公式な場」を中心に普及しているが故に、
時代の流れには鈍感であるし、痒い所に手が届かないことも多い。
地域性が反映され過ぎていて、時々、国際対応で不便を感じることがある。
多国語化に関しては、追加の言語パッケージを入れるか、
最初から多国語環境が入っているものを選択するという方法はあるが、
いずれにせよ、追加料金が発生してしまう。細々とお金がかかるのである。
また、いくら保守性が高いと言っても、永久に古い機能を持ち続けれるわけではないし、
新しいOSのバージョンがリリースされても、様々な事情があって、
古いバージョンを使い続けないといけないこともある。
そもそも、上に挙げた利点というのも、あくまで「公式の場」での話であって、
個人ユーザにとっては、必ずしも当てはまるとは限らないし、
少ない給料で割けるお金で買うには、少々、コストが掛かりすぎる。
以下のグラフを見てみると、現在でも、3割程度の人がWindows XPを利用している。
サポートが切れているOSを使うのは良くないのであるが…。
では、この問題は他のOSの場合にはどうなのか?
今度は、Linuxについて整理してみる。
Linuxと言っても、実際には様々な種類がある。私も、何種類あるか知らない。
というのは、OSの「基本的な部分」に様々な機能を追加した「亜種」が多く存在し、
その亜種によって、見た目、提供される機能、使い勝手が全く異なる。
現在では、RedHat、Debian、Slackwareの3系統の配布形式が主流で、無償のものでは、
RedHat系「Fedora(フェドーラ)」、Debian系「Ubuntu(ウブンツ)」。
Slackware系「openSUSE(オープン・スーゼ)」などがよく知られている。
実を言うと、大規模システム向けの、有償のLinux系OSも存在しているが、
細かい話をし始めると、延々と長い話になって終わらない。以下の話も、「ザックリ」。
ということで、ここでは、私が愛用しているUbuntuについて紹介する。
Wikipedia のアクセス数の割合で見ると、42.4%がUbuntuとなっている。
Linux系OSは様々な用途で使われているので、全体としてシェアでは不明なのであるが、
Wikipediaは一般ユーザが使うのが通常なので、実質的に、個人ユーザが最も多いOSであろう。
この Ubuntu を導入すると、どのようなメリットを享受できるのだろうか?
とりあえず、「見た目」は以下の通り。使いにくいという印象は感じられない。
実際に、直感的に扱うことができるので、一般ユーザが不便することは無い。
まず、このOS自体は無償で入手することができ、必要なソフトの多くも、
無償で入手できるものが多いので、金銭的は負担は非常に小さい。
もちろん、普通の人がWindows上で行うことの多くは、Ubuntu上でもできる。
画像や動画の処理、文書作成、表計算、統計、GIS、シミュレーション...etc。
これらは、Windows系のOSやMacと同様に、マウス操作が中心で複雑な技能も不要。
ただし、Windows上で動作するソフトが直接的に動くわけではないので、
代替となるソフトを探す必要はあるが、必要なソフトも揃っているし、
逆に、Windows系OSや Mac系OSで苦労する処理が、あっさりと出来ることもある。
動作も、Windows系のOSと比較するとかなり早く、旧式のパソコンでも快適に動く。
私は、最初の3年をWindowsで動かして、残りの2年はUbuntuで動かしている。
実を言うと、バッテリがもう持たないので、用途は限られてしまっているが...。
意欲のある人は、パソコンの買い替えの時に、試してみても良いかもしれない。
さらに、コマンドライン操作を少しでもできれば、作業効率は格段に上がる。
元々、コマンドライン操作が中心であったのでコマンド操作は非常に快適で、
細々とした機能が満載なので、使い慣れると「心地良い」のである。
多言語対応に関しては、Windows系OSと比較して、かなり自由が効く。
簡単な操作でいつでも言語やキーボードの言語設定ができるので、
海外の研究者とパソコンを共有する時に役に立つ。
さて、個人的にはUbuntuを何とか普及させたい気持ちもあるが、
全く問題が無いという訳では無い。「公式な場」で使うには、些か問題がある。
まず、大規模システムの基幹システムに据えるには不安材料が多いし、
ネットワークの細かい設定を行うには、そなりに技術力と専門知識を要する。
また、解説の多くが英語なので複雑な事をするにはある程度の英語能力を要する。
Windows系OSで作成されたファイルとの互換の問題もある。以前よりも良くなったが、
例えば、Microsoft Office で作った書類やプレゼンは、レイアウトが大きく崩れたり、
一部の図形が、別の図形になってしまったり...完全な互換は実現していない。
では、Macを選択するというのはどうか?なんか、最近、人気のようであるが。
学会のプレゼンでもよく見かける。
そもそも、Mac は、昔から個人ユーザをターゲットとしていて、
「一般企業ウケ」という点では、必ずしも良いとは言えない。
その一方で、「斬新さの追求」という点では、他のOSを圧倒している。
Mac は、パソコン本体とOSがセットになっているため、全体的な完成度も高い。
そうそう、Mac 独特のクールなデザインも定評がある。
マウスやキーボードなどの付属品までもが洗練されていて、慣れると病みつきになる。
ディスプレイなどにもこだわりがあって、色の再現力は非常に高い。
ちなみに、私のUbuntu機のキーボードはMac の英語版ワイヤレスキーボード。
あくまで、一般ユーザをターゲットとすることで、
様々な企業とのシガラミに捕らわれず、新しいことに挑戦しやすいのである。
そのような「思想」に魅了された人は、Mac から離れることができない...。
見た目だけ?と言う人もいるかもしれないが、そうでは無い。
また、現在のMac OS(Intel Mac)は、Linux の遠〜い親戚のようなものであるから、
コマンドは多くが共通していて、Linuxユーザにとっても、比較的、使い易い。
文字コードに関しては、両方とも、UTF-8が標準のため、文字化けも生じにくい。
処理速度の点では、体感的には軽快で、通常利用で不便を感じることは無い。
欧米では、Mac を愛用する研究者も多い。私も海外の研究者に勧められてMacにした。
そう言えば、以前参加したドイツの国際学会では備え付けのパソコンがMac だった。
国際対応という点でも、Ubuntuと同様に優れている。
簡単な設定で様々な言語に切り替えることができ、
Ubuntuと同様に、海外の研究者と共同研究する際に重宝する。
Mac版のMicrosoft Office が存在することも重要なポイントである。
実際には、マクロなどWindows版のOfficeの機能が全て使える訳では無いので、
完全に再現できる訳では無いが、Macではレイアウトが崩れる問題が軽減される。
他にも、Mac専用のオフィス・ソフトであるiWorksに含まれるワープロソフト(Pages)や、
プレゼンテーション・ソフト(Keynote)、表計算ソフト(Numbers)には、
iPad版やiPhone版が存在しており、これらの機器でデータを編集できる。
Mac を中心とした世界に、一度浸かってしまうと、
その「心地良さ」から、抜け出ることができないのである。
iPhone5のDockコネクタや地図に関して、困惑している人が多いが、
それで何らかの状況が「将来的に」良くなるのであれば、静観したい、
そのように、Mac信奉者は感じてしまうのである。褒めて伸ばしたい親心である。
では、Mac の選択する上での問題とは何か?
まず、Unutu などのLinux系OSとの関係では、
よく似ていても、決して同じOSでは無いし、Linux上で不自由なくできることが、
Macでは色々と厄介な手続きを踏まざるを得ないこともある。
Windows系OSとの関係では、「Windows版/Mac版」と書かれたソフトの多くが、
Windows版のソフトよりも機能的劣っていたりして、ガッカリすることがある。
そもそも、仕組みが違うので仕方無いのであるが、期待を裏切られることは多い。
周辺機器に関しても、Windows系OSの搭載を前提としたパソコンとは、
異なる形状の端子を使うことも多く、特定の周辺機器を使用するために、
特殊な形状の変換プラグを用意する必要もある。
一言で表現するならば「その斬新さ故に不自由を被ることがある」ということ。
さて、文系のためのOSの選択の話、少しは参考になっただろうか?
重要な点は、上記の3系統のOSの優劣を付けることは無意味であるということ。
こっちのOSでは簡単でできることが、他のOSでは困難であったり、
あるいは、色々とお金をかけないと行けないことがある。
見ての通り、何が良いかという結論は無い。人によって好みは異なるし、
用途によって便利と感じる部分も大きく異なる。
ただ、情報を扱うという観点からは、あるいは情報共有と利活用の観点からは、
いずれのOSを使用しても、大きな混乱の原因にならないような工夫が必要なのである。
そして、その工夫というのは、決して難しいことではない。
ということで、次回は、OSに依存しないソフトウェアについて整理しようと思う。
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