2018/05/30

文系のための「カラー画像のしくみ」

「文系」・「理系」を問わず、研究者は「写真」を使うことが多い。

写真は人の目で感じ取る情報を記録したものであり、
ある特定の状態を保存したり、他の人に伝えるために用いられる。
あるいは、その瞬間には気づかなかったことを後から知るために利用される。

写真という情報を得るための装置が「カメラ」である。
比較的最近まではフィルムカメラが用いられていたが、
現在ではデジタルカメラの方が一般的だと思う。

ここではカメラの詳しい機構について解説しないが、要するに、
離れた所(Remote)から対象物の状態を感光剤あるいは感光体に記録し(Sensing)
対象物の状態を復元できるようにするための機械である。



実はリモートセンシングという言葉は難しくない。カメラを想像すれば良い。
ただし、科学的な分析を行うためには、シャッターを押す程度では足りない。
機械についての知識も多少は必要であるし、得られた画像についての知識も必要である。

ということで、今回は「画像」についての話を整理する。

最初に知っておくべきことは「」についての知識である。
中学校の頃の美術の時間で習ったはずの「色の三原色」を覚えているだろうか?
光の三原色」と「色素の三原色」というのを習ったはずである。

要するに、どちらも、あらゆる色を表現することができる「原色」である。



「光の三原色」は「」と「」と「」から成り、
「色素の三原色」は「シアン」と「マゼンタ」と「イエロー」から成る。
一般的に前者をRGBとよび、後者をCMYKとよぶ。

ちなみに、CMYKの「K」は「」を表す。blacの最後の「k」をとる。

ディスプレイ上で扱う色の世界はRGBであり、
プリンターで扱う色の世界はCMYKとなっている。
どこかで、RGBCMYKという文字を見ているのではないだろうか?

ちなみに、プリンターで印刷する際にはRGB⇒CMYKへの変換が行われる。
RGBとCMYKとの間には「補色」という関係があって、
実は、カラーフィルムの仕組みも「補色」の関係が使われている。

さて、少々、話がそれてしまったが、
今回の話は「デジタル画像」の話に焦点を当てることにする。
デジタルカメラの時代だから…という訳ではない。

そもそも、現在のデジタルカメラの構造はかなり古くから知られていた。
特に有名なのがゴルスキーという人物のカメラ。19世紀後半に活躍した。
Library of Congress のデジタル・アーカイブに彼の作品が置いてある。

https://www.loc.gov/pictures/item/prk2000000200/

ゴルスキーはカラー画像を得るために特殊なカメラを開発し、
19世紀の様々な風景や人物の撮影を行った。この作品は凄い。
現代の画像処理ソフトを使うと、19世紀〜20世紀初頭の景色が蘇る。



これはGIMPRという二つのオープンソースソフトを使って再現したもの。
ゴルスキーのカメラの写真乾板は縦に三つ像が並んでいて、
上から青、緑、赤の色情報を取得できるようにしている。

この三つの画像を三つの画像として切り出し、
重なるように調整した後に、カラーチャンネルというのを割り当てる。
すると、見事にデジタルのカラー画像として蘇るわけである。

カラーチャンネルとは光の色成分の強さの情報のことで、
赤色チャンネル緑色チャンネル青色チャンネルの三つが含まれる。
この三つのチャンネルのことを理解しておくことが後に重要になってくる。

離れていると解らないが、現在のパソコンのディスプレイを虫眼鏡で見てみると、
非常に小さな光の粒が並んでいるはずである。よく見ると赤、緑、青が並んでいる。
感覚的には、それぞれのチャンネルが赤、緑、青の光に対応すると思えば解りやすい。

ここで一つの疑問が生じる。チャンネルを入れ替えるとどうなるか?

この疑問をすぐに思いついた人は素晴らしい。
実はチャンネルを入れ替えることはリモートセンシングではかなり重要。
このことについてはバンドとよばれるものと一緒に考える必要がある。

ということで、次回はチャンネルについて詳しく考えてみる。

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